導入事例      
東京大田市場・山邦 ※農経新聞 2017年10月9日掲載

次世代へ生き残り図る青果仲卸(1)

~攻めの経営を支える管理基盤~

青果仲卸は、営業拡大や組織づくり、人材育成などの課題が山積し、さらに卸売市場制度の改正でますます厳しい状況に置かれている。
本紙では2015年11月から17年2月まで15回にわたり、「青果仲卸の販売管理合理化」として、将来に向かって企業努力で生き残りを図る青果仲卸、およびそれをバックアップする東新システムの販売管理システム「いちばクラウド青果問屋」を紹介した。
今週からその第2部として、「次世代へ生き残り図る青果仲卸~攻めの経営を支える管理基盤~」を掲載する。


キノコから果菜類へ。
社内外のコミュニケーション強化。


東京・大田市場の青果仲卸・山邦(平国秋・会長兼社長)は、1969年、旧・神田市場時代に創業した。スーパー対応、地方転送、さらに地方都市の生協やスーパーにも納入している。現在の年商は18億円で、うち8割が野菜。社員は20人。

最近は東京近郊への人口集中などにより、首都圏のスーパーからの需要が増えているという。また産地からの出荷が大田市場に集中する傾向に合わせ、地方転送も増加傾向にある。

商品別では、創業当初からキノコ類が特徴だった。まだ大手キノコメーカーがない時代で、産地づくりにも取組んできた。現在ではキノコ類は引続き手掛けながらも、「トマト、キュウリなど果菜類に伸びしろがある」(根岸貴幸部長)という。

心がけているのは
「顧客の要望のさらに上を行く提案」。


会社全体で強化しているのは、顧客とのコミュニケーション。その中で顧客から求められるのは「価格、商品アイテム、販売形態など、差別化につながる提案」。それは首都圏の顧客に限ったことではなく、地方都市のスーパーも東京の情報をよくつかんでいる。そのため「顧客の要望のさらに上を行く提案」を心がけている。

そのため、まずは様々な商品が入荷する大田市場の優位性を最大限に活用。顧客と協議しながら手順としては「まず、産地・卸の協力で仕入れ体制を確立し、この店に行けば必ずこの商品があると認知してもらうこと。次にオリジナルシールやPOPなどによる差別化、商品化」を行う。

商品開発の一例を挙げると、主要顧客であるスーパーには、毎年、冬至の時期に北海道産カボチャを納入。輸入品がメインの競合店との差別化を図る。ただし「同じものを同じように提案するだけでは、競合店も追い上げてくるので、次々と仕掛けていく必要があります」という。

全社でデータ共有。
時短と精度向上も。


そのためには、営業員が必要な時間を捻出することが必須。実は同社では、旧・神田市場時代の1983年から東新システム製の販売管理システムを導入済みであった。しかしそのシステムは事務担当が管理し、営業はエクセルベースで各種の伝票を作成し、事務がそれを再び入力するという二度手間がかかっていた。

このため今年6月、同社の販売管理システム「いちばクラウド青果問屋」を最新版にリニューアル、営業と事務の一体化を実現した。営業が入力したデータが事務に引き継がれ、全社で一元管理される。今までエクセルで作成・管理していた取引先への相場・入荷案内をシステムで処理。受注入力から在庫管理・請求業務までが一気通貫の流れとなり、業務が簡素化すると同時に、管理の精度も向上した。

今後の課題は、
さらに複雑な業務も システム化していくこと。


今後の課題は、今回はシステム化の対象外としたさらに複雑な業務をもシステム化していくことだ。そのためには「きめ細かなお客様との調整やさらに踏み込んだ社内の団結が必要」とする。

一方で根岸部長は、「すべてを自動化してしまうと各店とのコミュニケーションが薄くなってしまうかも知れないのでその分、よりいっそうコミュニケーションを図って行きたい」と話す。情報システムを活用した業務の短縮と生産性の向上を進め、社内での情報やマンパワーを共有するとともに、社内外でのコミュニケーションを向上し、競争力の一層の強化を図っていく。