導入事例
沖縄県中央市場・松田青果店 ※農経新聞 2020年1月20日掲載

次世代へ生き残り図る青果仲卸(6)

~攻めの経営を支える管理基盤~

青果仲卸は、営業拡大や組織づくり、人材育成などの課題が山積し、さらに卸売市場制度の改正でますます厳しい状況に置かれている。
本稿では将来に向かって企業努力で生き残りを図る青果仲卸、およびそれをバックアップする東新システムの販売管理システム「いちばクラウド青果問屋」を紹介する。


システム活用で「働き方改革」推進。
現状業務を徹底分析。


沖縄県中央卸売市場の青果仲卸である松田青果店(松田義弘社長、社員・パート=51人)は、1969年の創業で、84年の同市場開場と同時に仲卸として入場した。県内スーパーへの販売を中心に、学校給食納品や県外への発送業務なども展開している。

20年以上前から販売管理をOA化してきたが、2018年2月から「いちばクラウド青果問屋」を導入した。前システムが17年夏でリース切れになったことがきっかけだが、青果専用ではない汎用のシステムをカスタマイズしていたため、在庫・損益の管理を含め、青果独特のきめ細かな管理が難しかったという。

導入に際しては、現状業務を丁寧に分析し、改善可能なポイントを洗い出した。例えば、卸売会社からの仕入は、以前は事務員が「売渡し票」を基に午後1時から1時間以上かけて入力し、その後で営業担当者がチェックしていた。

そこで、卸売会社から仕入れデータを受け取れることを確認。現在では午後0時すぎに仕入れデータを自動で取込み、ただちに「数合わせ表」を出力する。仕入れの入力業務がなくなったうえ、数合わせと仕入チェックがまとめてできるようになり、業務の大幅な効率化を達成している。

導入によりさまざまな業務改善を推進。
また、毎日の数合わせをシステム上で実現。


同社では学校給食の対応も行っているが、この部分についても業務改善に取組んだ。手作業で処理していた受注業務をシステム化、ピッキングリストや月ごとの納品予定表もシステム出力。またそれまでEXCELで個別対応していた複雑な給食専用請求書も、丁寧にシステム化した。

さらに店頭での伝票発行処理を行うことで伝票の手書き処理を廃止、二重業務を簡素化するなど、さまざまな業務改善を積重ねることで、最終の日次更新処理が午後2時前後と、以前より1時間以上早くなったという。

導入にあたってのもうひとつのポイントは、毎日の数合せ=在庫と損益の管理を、システム上で実現することだった。これは全営業担当者の理解と協力が必要なため、当初は不安もあったが、社長の強い思いもあり、予想以上に順調に軌道に乗せることができた。

業務の正確さを向上させながら
「さらに1時間早く帰らせたい」。


今では、各営業員が毎月の目標設定を行い、売上げ、粗利などをリアルタイムでチェックしているという。東新システムの西村社長は「旧システムは青果仲卸が使い続けるには厳しかったかもしれない。システムの提案においては、これまでのノウハウを活かし、業務の流れそのものの改革も提案した」とする。

昨年10月の軽減税率導入にも、しっかり対応。またこのタイミングで、対応を保留していたスーパーのEDIデータの取込みにも対応し、さらに業務の簡素化を進めることができた。

松田社長は「顧客に愛される会社、社員が働きがいを感じる会社」をめざしている。以前は労務環境の改善が進まず、業務拡張に伴い人材が欲しいときに不足していたこともある。「いちばクラウド青果問屋」の導入により、業務の正確さを向上させながら、すでに1時間程度の勤務時間短縮を実現しているが、「さらに1時間早く帰らせたい」と話す。そのためには「システムだけではなく全員の協力が必要」で、パートが担当するパック作業を状況によって営業員が手伝うなど、全員で助け合ってさらに「働き方改革」を進めていくつもりだ。