導入事例
サン・フレッシュグループ ※農経新聞 2022年10月24日掲載


次世代へ生き残り図る青果仲卸(12)

~攻めの経営を支える管理基盤~

青果仲卸は、営業拡大や組織づくり、人材育成などの課題が山積し、さらに卸売市場制度の改正でますます厳しい状況に置かれている。本稿では将来に向かって企業努力で生き残りを図る青果仲卸、およびそれをバックアップする東新システムの販売管理システム「いちばクラウド青果問屋」を紹介する。

百貨店のテナントを中心に43店舗を展開。
近年は各店舗からの受注業務の合理化が大きな課題。


サン・フレッシュグループ(落合亜希子代表、本部=千葉県柏市末広町)は、百貨店のテナントを中心に小売部門43店舗(うち国内40店舗、海外3店舗)を展開し、青果物やフレッシュジュース、フルーツサンドなどを販売している。

中心であるサン・フレッシュは1985年の設立だが、97年には持株会社サン・フレッシュホールディングスを立上げ、現在では輸出、東南アジアの現地法人、さらに仕入れ部門である東京・大田市場の青果仲卸(西勝、昌正)およびフレッシュ・エクスプレスなど、事業会社は12社におよぶ。

しかし事業規模が大きいがゆえに、近年は各店舗からの受注業務の合理化が大きな課題となっていた。

今年3月「青果問屋」を導入。データの入力業務が
不要なり、数日かかっていた請求書作成も1日で。


各店舗(関東中心、地方都市除く)から仕入部門各社への発注(電話・ファックス)は仕入部門が清書して本部にファックス送信。これを本部がシステムに入力するという流れで、転記・集計の手作業が多く、紙の使用量もかなりのものだった。

このため今年3月、仕入部門3社と本部で東新システムの「いちばクラウド青果問屋」を導入。各店舗からの受注を仕入部門で入力、システム上で集計する流れを実現した。これにより、仕入部門各社の受注業務が効率化しただけでなく、本部側ではさらに大きな効果を生んだ。仕入部門から送られたデータを入力するという業務が不要となり、確定納品書の自動メール送信対応なども含めて業務が大幅に改善され、それまで数日かかっていた月末の請求書も、当日中に作成できるようになっている。

仕入部門各社では、西勝の商品管理方法をベースにして商品マスタ・得意先マスタ・仕入先マスタを3社で統一し、在庫や損益の管理を実現。通過型データの自動計上など簡素化の工夫も盛込み、ノートPCによるモバイルでの業務運用も活用している。

「まだ入力作業は発生するものの、仕入部門の仲卸と本部間のファックスや伝票などのペーパーレス化が進んだことが大きい」(システム担当の豊田隆人氏)という。

小売部門は各店の独自仕入で差別化を推進。
このコロナ下ではネット通販が予想以上に好調。



サン・フレッシュグループでは、グループの方針として、小売部門はすべて各店の独自仕入としている。とくに地方都市の店舗は地元の卸売市場などで仕入れる割合も多く、なかには産直もある。差別化のためにも独自仕入れは必須で、実際に増加中。東新システムではそれに対応した提案も行っている。

今後については、意外にも「店舗との受発注方法のうち電話は残したい」(豊田氏)という。これは「単なる受発注だけでなく、店舗とのコミュニケーションがとれる」からだ。ただしファックスでの受発注については、自動集計やデータ化などが可能なクラウドシステムの導入も検討する。

なおコロナ下での販売状況については、ネット通販サイトの売上げが予想以上に伸びたという。お供え・仏事用フルーツセット、お祝いフルーツギフトなどに加え、有機野菜など野菜のギフトも好評だ。「行事などがあっても大切な人に会いに行けない分、ギフトを送るということが定着したのでは」とみる。

また野菜では総菜やミールキットの売上げが好調で、品揃えを強化していく。