自社向けに作り込んだオフコンをクラウドに移行。
さらに業務改善で残業を削減し、働き方改革を推進。

青果仲卸にとって受発注の合理化と利益管理は経営改善への大きなカギ。それをサポートするのが販売管理システムだ。
千葉市公設地方卸売市場の青果仲卸、さんひで(雨宮利治社長、社員・スタッフ46人、年商41億円)では、東新システム製の販売管理システム「いちばクラウド青果問屋」を導入。自社向けに作り込んだオフコンシステムを丁寧にクラウドに移行したうえ、受発注を中心とした業務改善で残業を大幅に削減し、働き方改革にもつなげている。
かつては複雑なシステムのため、保守・継承が困難。
そこで現状の業務プロセスを分析し、パッケージに統合。

同社は30年近く前から、独自の高度な経営管理体制に合わせて作り込まれたオフコンシステムを運用していた。これは、当時地元コンピュータメーカーに在籍していた「仲卸業務が全てわかっている担当者」が、ほとんどゼロから構築したもの。「ほしい帳票は何でも出せた」という。
しかし一方では、完全に個別開発で作られた複雑なシステムで、さらに古いコンピュータ言語と新しい言語が入り混じっているなど、保守・継承が非常に困難な状況となっていた。このため各メーカーの販管システムを調査していたところ、東京・大田市場で東新システムが行った展示会でいちばクラウド青果問屋を知り、導入を検討した。
東新システムでは改めて現状の業務プロセスを徹底的に分析し、これをパッケージシステムに統合する設計を進め、1年以上の準備期間を経て、2018年10月に稼働した。
さんひでの業務はすべてが「商品情報」から始まる。 受発注業務もシステムに統合。高度で複雑な管理を運用。

さんひでは、納め業務や量販店対応など顧客の形態が多様なうえ、加工も行う。同社の業務は、「商品情報」と呼ぶ相場・入荷案内兼発注書からすべてが始まる。量販店EDI処理、納め受注に至るまで、原価管理までを含めた「商品情報」で管理される。
受発注業務も完全にシステム統合されており、ここに仕入経費・販売経費の管理も含めた原価・損益管理が組み込まれ、さらに市場営業日と出荷・納品日の「ずれ」の管理が加わる、高度で複雑な管理を運用している。
また「過不足表」と呼ぶ独自の帳票で、在庫・数合せ管理もしっかり行っている。
設計打合せと導入運用調整に時間をかけ 高度な独自システムにていねいに移行。

従来、エクセルによる補助業務などを含め、多くの手処理を組合わせて運用されていたこれらの業務を分析し、パッケージ機能でカバーしきれない部分をしっかりカスタマイズ対応して業務全体をまとめ上げるのが大変で、設計打合せと導入運用調整に多くの時間を費やしたという。
新システムでは、エクセルで作成し手動送信していた「商品情報」(発注書)のFAX送信を自動化。発注書が戻ってきた時には、管理番号と発注数量を入力するだけで済むようになった。
導入後は、営業員、事務員とも残業は月3~4時間。
販管システムの今後の活用についてもさらなる改善を。

クラウド機能を活用し、営業担当者が在宅で業務対応できるようになったことも大きな変化だ。さらに、全体の時間の削減も。
それまではFAX、メール、EDIなどで受ける受注を入力し、分荷票出力、ピッキング、さらにその過程で過不足などが発生すれば営業が数量を修正し、原価も修正、納品明細をFAXという一連の作業が終わらないと次の工程に行けなかった。 しかし現在では担当者別に管理できるようになったため、無駄な待ち時間もなく、早く終わった担当者は早く帰宅できるようになった。新システム導入前は月20時間前後だった1人当たりの残業は月3~4時間程度になり、働き方改革にもつなげている。
雨宮社長は、今後の販管システムの活用について、「現在顧客から直接スマホで発注をもらう仕組みを運用しているが、顧客側で出荷確定情報を見られるようにして欲しい。そうすれば、さらに活用が進み、納めの受注業務をさらに改善できる」としている。 |