導入事例
東京北足立市場場外・足立青果 ※農経新聞 2021年5月17日掲載


次世代へ生き残り図る青果仲卸(9)

~攻めの経営を支える管理基盤~

青果仲卸は、営業拡大や組織づくり、人材育成などの課題が山積し、さらに卸売市場制度の改正でますます厳しい状況に置かれている。本稿では将来に向かって企業努力で生き残りを図る青果仲卸、およびそれをバックアップする東新システムの販売管理システム「いちばクラウド青果問屋」を紹介する。

豊富なパッケージ機能などから導入を決定。
納め業務対応システムで事業拡大に貢献。


東京・北足立市場場外に本社を置く足立青果(西山修社長、スタッフ8人)。2016年の創業以来、学校給食、病院給食、飲食店など業務用納品を主体としてきた。仕入れは同市場青果仲卸を主体に、契約産地とも連携している。

業務用納品の特徴は、同じ商品であっても、納め先によって価格や納入単位が異なること。当初は手書きで、近年はベテラン社員がエクセルで作成した仕分け表により、各種の処理を行っていた。しかし顧客数、アイテム数が多くなるにつれ限界を感じていた。

そのため、一般の販売管理システムを検討したが、機能が不足。「納め業務に対応したシステムはない」と諦めようとしたところ、北足立市場の仲卸から東新システムを紹介された。

「あれもやりたい、これもやりたい」とさまざまな業務要件を相談したが、東新システムでは豊富なパッケージ機能を活用し、それらの機能を実現。しかも安価な提案であったことなどを評価し、一昨年10月に導入を決定した。

単価管理にも対応。業務簡素化とミス防止も実現。
「この先、顧客や店舗が増えても十分対応できる」


足立青果の樋口義治・仕入本部長が求めた機能は「顧客と品目、単位を選べば、週間や月間で決まる単価が自動で表記される」こと。その「単位」では、ケース、個、パック、束、さらに重量(キログラム)の5種類が用意された。とくに学校給食ではカロリー計算などのため「キログラム」での納入が多い。また納品時の単価は「仮」で提出し、翌日に確定することもあるが、そのようなケースにも対応可能だ。

一方、月末や締め時の合計請求書の発行も課題だった。それまでは手書きで作成していたため発送が遅れ、入金の遅れにもつながっていたが、新システムでは、締め日の翌日には発送可能となった。

ハード面に関しては、もともと利用していたノートパソコン2台とファックス・コピー複合機を活用。ノートパソコンは、外出先でも利用できる。

「伝票を200件でも1人で発行できるようになったことは大きい」(樋口氏)。業務全体が早くなり、ミスも少なくなった。また、社長自らエクセルで作成していた分析資料も、「見たい表はすべてシステムから出せる」。同社では大手給食業者との取引も開始されたが、「この先、顧客や店舗が増えても十分対応できる」と評価している。

「地域消費者に応えたい」と
小売部門も立上げ、周辺には無料配送も。


そのほか足立青果では「LINE@」で顧客に商品情報を一斉送信してオーダーも受付け、販売につなげている。また4月14日に、初の小売部門「草加マルシェ」を立上げた。これは、埼玉県草加市役所にほど近い立地の直営小売店。販売面積は36平方メートル、品揃えは80~100アイテムに絞っている。西山社長は「新鮮な商品を値頃感のある価格帯で提供し、地域消費者に応えたい」とし、周辺の顧客には無料配送も行っている。